地球の内部構造は直接見ることができませんが、地震波の観測や高温高圧実験から大枠の姿が分かってきています。
地球のどこで地震や火山活動が起こるのかを理解するためにも、地球の内部構造のイメージをつかんでおくことはとても大切です。
地球の内部構造をやさしく理解する基礎知識7つ
まずは地球の内部構造の全体像と基本用語を整理し、大まかな層のイメージを持てるようにしていきます。
層構造という基本イメージ
地球の内部構造はタマネギのように何層にも重なった層構造として捉えられています。
大きく分けると外側から地殻、マントル、外核、内核という四つの層が連なっています。
それぞれの層は厚さや密度、温度が大きく異なり、役割もまったく違います。
この層構造の違いが地震や火山、プレート運動といった現象の土台になっています。
地殻の役割
地殻は私たちが暮らしている地表を含む最も外側の薄い層です。
大陸の下に広がる大陸地殻と、海底を作る海洋地殻に分かれ、厚さや成分が異なります。
地殻は全地球の半径から見ると薄皮程度ですが、地震や火山など身近な現象の舞台になります。
プレートとして動いているのは地殻だけではなく、その下の硬い上部マントルと一体化した岩盤です。
マントルの役割
マントルは地殻の下から深さ約二九〇〇キロメートル付近までを占める厚い岩石の層です。
マントルを構成する岩石は高温で固体ですが、非常にゆっくりと流れるように変形します。
マントル内部の対流がプレートを動かし、山脈の形成や大陸移動を引き起こします。
マントルは地球内部の熱を表面へ運ぶ巨大なベルトコンベヤーのような役割を果たしています。
外核と内核の違い
核は地球の中心部に位置する金属を主体とした層で、外核と内核に分かれています。
外核は主に鉄とニッケルからなる液体の層で、内核はほぼ鉄でできた固体の球体と考えられています。
外核が液体であることは、地震波のうち横波であるS波が通過しないことから分かります。
内核は莫大な圧力によって高温でも固体であり、その性質は今も活発に研究されています。
組成による区分の考え方
地球の内部構造はどんな物質でできているかという組成で区分することができます。
組成で見ると、地殻とマントルはケイ酸塩を主体とした岩石で、核は金属の鉄やニッケルが中心です。
マントルの中でも上部マントルと下部マントルでは鉱物の構造が変化していると考えられています。
この組成による区分は地球誕生時の分化や重い元素と軽い元素の分離過程を理解する手がかりになります。
性質による区分の考え方
地球の内部構造は硬さや流動性といった性質の違いでも区分されます。
地殻と最上部マントルは一体となってリソスフェアという硬いプレートを形作っています。
その下の比較的柔らかいアセノスフェアは、プレートがゆっくりと動くためのすべり面のような役割を持ちます。
このような性質による区分はプレートテクトニクスを理解するうえで重要な視点になります。
深さごとの温度と圧力の変化
地球内部では深くなるほど温度も圧力も急激に高くなっていきます。
地殻の下では一キロメートルごとにおよそ二〇度から三〇度ほど温度が上昇すると見積もられています。
地球の中心付近では温度は約六〇〇〇度、圧力は数百万気圧にも達すると推定されています。
この極端な環境が岩石や金属の状態を変え、固体や液体、さらには超イオン状態といった特別な状態を生み出します。
地殻の特徴を知る
ここでは大陸地殻と海洋地殻の違いや厚さの目安を整理し、地球の最外殻のイメージを具体的にしていきます。
大陸地殻の特徴
大陸地殻は大陸の下に広がる比較的厚い地殻で、花崗岩質の軽い岩石が中心です。
平均的な厚さは三〇キロメートルから六〇キロメートルほどで、山脈の下ではそれより厚くなります。
大陸地殻は非常に長い時間をかけて形成されてきたため、古い岩石や変成岩が多く見られます。
軽い大陸地殻はマントルの上に浮かぶように位置し、大陸の高まりを生み出しています。
- 花崗岩質の軽い岩石
- 厚さは三〇〜六〇キロメートル
- 古い岩石が多い
- 山脈の下でさらに厚くなる
海洋地殻の特徴
海洋地殻は海底を形作る比較的薄い地殻で、玄武岩質の重い岩石が中心です。
厚さはおよそ五キロメートルから一〇キロメートル程度と、大陸地殻に比べてかなり薄くなっています。
海洋地殻は中央海嶺で新しく作られ、プレートの移動とともに年数とともに沈み込んでいきます。
このため海洋地殻は大陸地殻より若く、数億年規模で絶えず作り替えられています。
- 玄武岩質の重い岩石
- 厚さは五〜一〇キロメートル
- 中央海嶺で新しく形成
- 沈み込み帯でマントルへ戻る
地殻の厚さと密度の比較
大陸地殻と海洋地殻は厚さと密度が異なり、それが海と陸の高さの違いにつながっています。
厚くて軽い大陸地殻はマントルの上で高く浮かび、薄くて重い海洋地殻は低く沈み込むように位置します。
この違いを押さえると、なぜ大陸が海面より高く、海溝が深いのかを直感的に理解しやすくなります。
| 項目 | 大陸地殻 | 海洋地殻 |
|---|---|---|
| 厚さの目安 | 三〇〜六〇キロメートル | 五〜一〇キロメートル |
| 主な岩石 | 花崗岩質の軽い岩石 | 玄武岩質の重い岩石 |
| 密度のイメージ | やや軽い | やや重い |
| 広がる場所 | 大陸の下 | 海底の下 |
マントルのしくみを理解する
ここではマントルの内部構造や対流のしくみを押さえ、プレート運動との関係を見ていきます。
上部マントルとアセノスフェア
上部マントルは地殻のすぐ下から深さ数百キロメートルまでに広がる領域です。
このうち比較的柔らかく流動しやすい層がアセノスフェアと呼ばれています。
アセノスフェアは高温のため岩石が部分的に溶けており、長い時間スケールでゆっくりと変形します。
その上に乗る硬いリソスフェアのプレートは、このアセノスフェアの上をゆっくりすべるように移動します。
- 上部マントルの一部がアセノスフェア
- 高温で柔らかく長期的に流動
- プレートのすべり面として働く
- 地震活動の深さの上限に関わる
下部マントルと遷移層
下部マントルは深さおよそ六六〇キロメートルより下に広がる高圧環境の領域です。
この深さ付近には遷移層と呼ばれる帯があり、鉱物の構造が別の形へと変化していると考えられています。
遷移層より下では岩石はより緻密な構造になり、地震波の速度も速くなります。
下部マントルは地球の体積の大部分を占め、内部の熱や物質輸送に大きな役割を果たしています。
マントル対流とプレート運動
マントル内部では温かい物質が上昇し、冷えた物質が沈降する対流が起こっています。
このマントル対流がプレートを引っ張ったり押したりして、大陸移動や海洋拡大を引き起こします。
沈み込み帯では冷えた海洋プレートがマントル内部へ沈み、深部へ熱を運び込んでいます。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 上昇流 | 高温のマントル物質がゆっくり上昇 |
| 下降流 | 冷えたプレートが沈み込み帯で沈降 |
| プレートへの影響 | 引きずりによる移動や海洋底拡大 |
| 地表への現れ方 | 中央海嶺や火山活動として観測 |
地球の核で起きていること
ここでは外核と内核の性質や地磁気との関係を整理し、地球の中心部のイメージをつかみます。
外核の液体金属の性質
外核は深さおよそ二九〇〇キロメートル付近からさらに数千キロメートルにわたって広がる液体の金属層です。
主成分は鉄とニッケルで、高温高圧のもとで溶けた状態になっています。
外核が液体であることは、地震波の観測から横波が通過しない領域として確かめられました。
外核内部の流れは巨大な発電機のように働き、地球の磁場を生み出しています。
- 鉄とニッケル主体の液体金属
- 深さおよそ二九〇〇キロメートル以深
- S波が通過しない領域
- 地磁気の源となる電流が流れる
内核の固体金属と超イオン状態
内核は地球の最も中心部に位置する半径約一二〇〇キロメートルほどの固体の球体と考えられています。
主成分は鉄とニッケルで、外核よりさらに高温ですが、莫大な圧力のため固体の状態を保っています。
近年の研究では、内核の中で軽い元素が格子の中を動き回る超イオン状態と呼ばれる特別な状態が示唆されています。
このような性質は地震波速度の異方性や内核の柔らかさを説明する手がかりとして注目されています。
核が作る地磁気とバリア
外核の液体金属が対流することで電流が生じ、その電流がダイナモのように地磁気を生み出します。
地磁気は地球の周囲に磁場を張り巡らせ、宇宙空間から飛来する高エネルギー粒子をそらしています。
この磁場がなければ、太陽風によって大気が失われたり、生物が強い放射線にさらされたりする危険が高まります。
地球の内部構造は見えない磁気の盾を通じて、私たちの暮らしを静かに支えています。
| 要素 | 役割 |
|---|---|
| 外核の流れ | 電流を生み出し磁場を生成 |
| 地磁気 | 荷電粒子の進路を曲げて地表を防護 |
| 生物への影響 | 有害な宇宙線や太陽風から守る |
| 大気への影響 | 大気の剥ぎ取りを防ぎ気候を安定させる |
地震波から地球内部を探る
ここではP波とS波の性質や地震波の伝わり方を通じて、地球内部構造がどのように推定されているかを見ていきます。
P波とS波の違い
地震波のうちP波は縦波であり、地震のあと最初に到達する素早い揺れを引き起こします。
S波は横波で、P波のあとに到達するややゆっくりした揺れを生み出します。
P波は固体と液体の両方を伝わるのに対し、S波は固体の中しか進むことができません。
この性質の違いを利用して、地球内部のどこに液体の層があるのかが推定されています。
| 波の種類 | P波 | S波 |
|---|---|---|
| 性質 | 縦波 | 横波 |
| 伝わる物質 | 固体と液体 | 固体のみ |
| 到達の順番 | 最初に到達 | 後から到達 |
| 感じる揺れ | カタカタとした小刻みな揺れ | ゆさゆさとした大きな揺れ |
地震波の屈折と反射
地震波は速度が急に変わる境界に出会うと、光のように屈折したり反射したりします。
地震計で多くの地点の揺れを記録し、その到達時刻を詳しく解析することで、地球内部の速度構造が逆算できます。
地震波が急に曲がる深さは、地球内部構造の層境界がある場所に対応すると考えられています。
こうした観測を積み重ねることで、人類が掘ることのできない深さの情報が得られています。
- 境界での屈折と反射
- 到達時刻の違いから内部構造を推定
- 速度の変化が層境界の手がかり
- 多数の観測点のデータを統合
影の領域と内核の発見
地震波の観測では、ある角度の範囲でP波やS波がほとんど届かない影の領域が見つかっています。
P波の影の領域は外核が液体であることを示し、S波が全く届かない領域は液体層の存在を裏付けました。
さらに詳細な解析により、地震波のわずかな到達の違いから内核の存在が提案されました。
現在でも新しい観測と解析手法により、内核内部の構造や異方性に関する理解が少しずつ進んでいます。
地球内部構造が生み出す現象
ここでは地球の内部構造が地震や火山、磁場などの現象としてどのように表れているかを見ていきます。
プレート境界の地震活動
プレート境界では、プレート同士がぶつかったりすれ違ったりすることで大きな応力がたまります。
この応力が限界を超えた瞬間に岩盤がずれ動き、大地震としてエネルギーが解放されます。
沈み込み帯では海洋プレートがマントル内部へ沈み込み、その過程で深発地震や火山活動が起こります。
地震の分布や深さは、プレートやマントルの構造を映し出す重要な情報源です。
- プレート境界に大地震が集中
- 沈み込み帯で深発地震が発生
- マグマ供給が火山活動を引き起こす
- 地震分布がプレート形状を示す
ホットスポットとマントル上昇流
ハワイのようにプレートの内部に位置する火山列は、ホットスポットと呼ばれるマントル上昇流と関係しています。
マントルの深部から高温の物質が細い柱状に上昇し、プレートの下でマグマを供給します。
プレートが動くことでホットスポットの上を火山が次々と通過し、火山列や海山列が形成されます。
このパターンを読み解くことで、過去のプレート運動の履歴を推定することができます。
地磁気と生命の保護
地球内部構造から生まれる地磁気は、生命や人間社会にとって重要な保護機能を持っています。
磁場は高エネルギー粒子の多くをはじき返し、オーロラとして見える現象を通じてその存在を私たちに示します。
もし強い磁場がなければ、地表は宇宙線にさらされ、電子機器や通信にも深刻な影響が出てしまいます。
地磁気は内部構造の結果であると同時に、地球が長期的に生命を育むうえでの条件のひとつでもあります。
| 要素 | 影響 |
|---|---|
| 地磁気 | 高エネルギー粒子をはじき地表を保護 |
| 放射線環境 | 生物や電子機器へのダメージを軽減 |
| オーロラ | 磁場と粒子の相互作用が生む発光現象 |
| 長期的な生命維持 | 大気や水の保持を助ける条件の一部 |
地球の内部構造を学ぶ意味を考える
地球の内部構造を理解することは、地震や火山活動の仕組みを知り、防災や減災に役立てるうえで不可欠です。
見えない内部の層構造やマントル対流、核の性質を知ることで、ニュースで報じられる地震や火山の情報をより立体的に捉えられるようになります。
また地磁気や大気の保持など、内部構造が私たちの暮らしを支える見えない基盤になっていることに気づくきっかけにもなります。
学校の学習や日常のニュースと結びつけながら地球の内部構造への理解を深めることで、足もとの惑星へのまなざしは一段と豊かなものになっていきます。

